円形脱毛症の原因【女性編】なぜ突然抜ける?クリニックで見えてくること
監修:山本 一仁 医師
円形脱毛症は、ある日突然現れる円形の脱毛が特徴で、女性にも珍しくない疾患です。「なぜ自分が?」という疑問は、多くの方が抱えます。原因を知ることは、適切な対処への第一歩になります。
円形脱毛症は、頭皮の毛包(毛を作る組織)が自己免疫反応によって攻撃され、毛が生えてこなくなる状態です。毛包自体は破壊されず、機能が一時的に停止している状態に近いため、適切なアプローチを取れば再成長が期待できる場合があります。
脱毛の形は硬貨大の円形が典型的ですが、複数箇所に広がるタイプ、頭部全体に及ぶタイプ、まつ毛・眉毛・体毛へ影響が出るタイプなど、さまざまな病型があります。
円形脱毛症の原因は自己免疫機能の乱れが中心で、ストレス・ホルモン変化・栄養不足などが複合的に関与します。女性は月経・妊娠・更年期などのホルモン変動期に発症リスクが高まる傾向があります。
円形脱毛症の原因は、単一ではなく複数の要因が重なることで発症すると考えられています。女性に多く見られる要因を整理します。
免疫システムが本来攻撃すべきでない自分自身の毛包を異物とみなして攻撃する状態が、円形脱毛症の中心的なメカニズムです。免疫の乱れは、ストレスや睡眠不足、栄養バランスの偏りなど、複合的な要因によって引き起こされやすくなります。
受験、転職、人間関係の変化、家族の介護など、継続的な精神的ストレスは自律神経や免疫機能に影響を与えます。身体的ストレス(過労・過度なダイエット・手術後など)も同様に関与すると考えられています。
女性は月経による定期的な鉄分損失があるため、鉄欠乏は女性の脱毛に関わる要因として注目されています。毛髪の合成に必要な亜鉛や各種ビタミンの不足も、頭皮環境に影響を与えます。
女性は月経周期・妊娠・産後・更年期などの節目でホルモン環境が大きく変動します。こうした変動期に免疫機能が乱れやすくなる可能性があり、円形脱毛症の発症や再発が起きやすい時期とされています。
円形脱毛症は、アトピー性皮膚炎や自己免疫性の甲状腺疾患(橋本病・バセドウ病(甲状腺を標的とする自己免疫疾患)など)を持つ方に発症しやすい傾向が報告されています。これらの疾患がある方は、脱毛症状が現れた際に専門クリニックへの相談を検討する理由になります。
女性の円形脱毛症の患者さんが来院する際、問診・診察でどのような原因・背景を確認されますか?また、「これが引き金になりやすい」と感じる女性特有のケースがあれば教えてください。
当院での女性の円形脱毛症での来院は多くはありませんが、先天性の脱毛やトリコチロマニー(抜毛症)等のケースがあります。全体的な薄毛の場合は閉経・産後脱毛・加齢等がきっかけで相談に来られる場合が多いです。
円形脱毛症は最初1か所でも、免疫の乱れが続く状態では複数箇所へ広がる場合があります。脱毛が多発するタイプや、頭部全体に及ぶ「全頭型」は、単発型と比べてアプローチが異なります。
当院では円形脱毛症で治療に限りがありますので、基本的には専門のクリニックを紹介しております。
「円形脱毛症=ストレス」は広く知られた認識ですが、ストレスだけが原因とは言い切れません。ストレスは免疫の乱れを悪化させる誘因のひとつですが、ストレスがない状態でも発症する方はいます。また、脱毛の発見がさらなるストレスになるという悪循環が起きやすい点も、女性の患者さんに多く見られます。
「ストレスが原因ですか?」と聞いてくる患者さんへの説明で、先生が特に重視している伝え方があれば教えてください。
診察で、ストレスで抜け毛が増えたと言われる患者様を多いですが、その他にも生活習慣や栄養面等も関係してくることがあるので、ストレスをため込まないようにすることや、健康面等にもできるだけ気をつけてもらう事を説明しています。
女性のホルモン環境は年齢と共に変化します。次のような時期に円形脱毛症が現れる・再発するケースが報告されています。
産後や更年期など、女性特有のタイミングで来院される患者さんで多い訴えや、診察で気をつけていることがあれば教えてください。
当院へ産後や更年期等で来院される患者様は全体的な毛量減少、ボリューム感の減少、抜け毛の増加で来院されることが多いです。
診察では薬剤を使用するのか、サプリメント等で様子を見るのか等ご本人さまのライフスタイル、希望に合わせて治療法をご提案しております。
脱毛が1か月以上続く・複数箇所に広がる・眉毛やまつ毛にも出ているといった場合は、早めに専門クリニックを受診することが推奨されます。
円形脱毛症は「自然に治ることもある」とされますが、脱毛が広がっている場合や複数箇所に現れている場合は、専門的な診察を受けることが望まれます。原因と状態を把握しないまま様子を見ることは、症状が進行するリスクにつながる場合があります。
以下のような状態は、早めのクリニック相談の目安として参考にしてください。
抜け毛に気づいてから2〜4週間以内に受診すると、早期治療の選択肢が広がります。
「様子を見て大丈夫なケース」と「早急に診察すべきケース」の判断基準を、先生の診療経験をもとに教えてください。
基本的には円形脱毛症が出来てから3ヶ月経過しても発毛していない場合は治療が必要です。
早急に診察が必要な場合は毎日の抜け毛が多量で明らかな毛量減少がみられる場合です。
円形脱毛症で攻撃された毛髪は特徴的なためマイクロスコープの拡大画像を確認するとわかりやすいです。
他の脱毛症にもそれぞれ特徴があるので拡大画像の撮影は必ず行います。
ただし、見極めるための知識も必要となります。
家族に円形脱毛症の方がいる場合、遺伝的な素因として発症リスクが高まる可能性があるとされています。ただし、遺伝的素因があっても必ず発症するわけではなく、環境要因との組み合わせによって発症するとされています。
Q. 円形脱毛症はうつると聞きましたが本当ですか?
円形脱毛症は感染症ではないため、他の人にうつることはありません。
円形脱毛症は子どもにも発症します。年齢を問わず発症する可能性がある疾患です。
軽症例では自然回復するケースもありますが、多発型や全頭型は医療介入が必要な場合があります。
当院では専門的な治療ができませんので、他院への紹介を行っております。
AGAは生え際・頭頂部から徐々に薄くなるのに対し、円形脱毛症は突然円形・楕円形に抜け落ちる点が特徴的です。びまん性脱毛症は全体的にボリュームが減少します。
当院では専門的な治療ができませんので、他院への紹介を行っております。
現時点で一般的に用いられるアプローチとして、以下のものが知られています(治療方針は症状・病型により異なります)。
軽症の患者さんに経過観察を選ぶ場合、どのような基準で判断されていますか?また、再発しやすい患者さんに共通する特徴(体質・ライフスタイル・病型など)があれば教えてください。
基本的には3ヶ月経過して発毛してきているかが判断基準となります。
再発を繰り返す方に規則性はありません。
過度なダイエットや摂食制限が脱毛の誘因になるケースを実際に診察で見られますか?どのレベルの栄養不足が問題になるか、臨床的な感覚で教えてください。
極端なダイエット、短期間でのダイエットは毛量減少を起こす場合もあります。
過度な糖質・脂質制限等
当院では提携・連携しているクリニックはありませんが、円形脱毛症に関しては専門的に治療を行っているクリニックを紹介しております。
円形脱毛症の原因は、自己免疫機能の乱れを中心に、ストレス・ホルモン変化・栄養状態・他疾患との合併など、複数の要因が絡み合っています。女性の場合、月経・妊娠・更年期などのホルモン変動期や、精神的・身体的ストレスの高い時期に注意が必要です。
「なぜ自分が?」という疑問に答えるためには、問診・視診・必要に応じた検査を通じて状態を把握することが欠かせません。気になる脱毛が見つかったら、まずは専門のクリニックで現状を確認することをおすすめします。